「アニメ」に関するスキーマ

「アニメ」についての情報を機械的に表現するスキーマを考えてみる。

目標

そこそこに表現できればOKとしたいところだが、まずはあらゆる場合を考えてみる。最終的にはRDBMSに格納できるようなものを目標とする。

作品名

アニメ作品を識別する識別子としては「作品名」を使おうとするだろう。しかし「作品名」としては何が妥当だろうか? 作品名は「どこから持ってくるのか」によって、案外とブレが多いのだ。

企画書に書かれているタイトル、台本に書いてあるタイトル、新聞のテレビ欄に書いてあるタイトル、番組の冒頭に表示されるタイトル、などが作品名の候補である。これらは実にブレが大きい。

鉄人28号

たとえば「鉄人28号」という有名な作品がある。この作品は何度もアニメになっているのであるが、1980年に放映された「リメイク版」はしばしば「太陽の使者 鉄人28号」などと呼ばれる。しかし放映当時はテレビの画面上には「太陽の使者」という文字は登場せず、「鉄人28号」とのみ表示されていたらしい。Wikipediaの情報によれば映像ソフト化の際に主題歌から取られた、とある。

アクエリオン

創聖の アクエリオン」という作品がある。当初は確かに公式サイトにあるように「創聖の アクエリオン」と画面に表示されていた。しかし18話にオープニングが変化した際、「AQUARION」とのみ表記されるようになった。

らぶげ

あかほり外道アワー らぶげという作品が「アニメ魂」という枠で放映されている。この「らぶげ」、「絶対正義 ラブフェロモン」「それゆけ! 外道乙女隊」という2つのパートから構成されており、それぞれがあたかも別作品であるかのように「作品名」が登場する。しかし、内容的には2つの作品には関連があり、OPやEDも同時には全体で一つしか放送されない。また、OPは2パターンが交互に放映される。

枠の名前

「らぶげ」などのように、作品名とは別に「枠の名前」が付いているものも多い。「アニメ魂」「プリンセスアワー」「アニメコンプレックス」など、いろいろある。

再放映版

再放送の際に番組名が変わることもある。たとえば、1994年作品の「モンタナ・ジョーンズ」は、2003年に再放映された際には「冒険航空会社(アドベンチャー・エアライン) モンタナ」というタイトルになった。

英語か日本語か

作品によっては日本語表記のタイトルと英語など、他言語での表記が並列していることがある。たとえば「カレイドスター」は英語表記である「KALEIDOSTAR」が番組名のロゴの右肩に表示されている。このように同じ意味のものを日英併記しているものであれば「大きく、あるいはメインっぽく表示されているもの」を採用するという方針を立てることができよう。

しかし、英語と日本のタイトルで、それぞれ違うものであることがある。たとえば、「ナデシコ」のテレビ版の冒頭には「機動戦艦ナデシコ Martian Successor NADESICO」と表示される。英語のほうを単純に訳すなら「火星の後継者 ナデシコ」になってしまう。このような場合は「Martian Successor~」もタイトルの一部扱いにしてしまうのがいいかもしれない。

長い名前

1998年に放映された「星方武侠 OUTLAW STAR」は、画面を良く見るならば「星方武侠 OUTLAW STAR. FUTURE HERO NEXT GENERATION」となっていることがわかる。長い。

「ニニンがシノブ伝」は良くみると

ニニンが
シノブ伝
2x2 = SHINOBUDEN
THE NONSENSE KUNOICHI FICTION

と表示されている。また、「魔法少女 リリカル なのは」は、正確に書き写すならば

魔法少女
リリカル  なのは
Magical girl lyrical Nanoha. She whispers some words mildly in your heart, and makes your gentle days.

となる。最後の文章も作品名の一部とすべきだろうか?

空白と改行と改ページ

作品の途中に空白文字があることは多い。また、改行していることも普通である。また、別画面に切り替わってタイトルの続きらしきものが表示されることもある。このような情報はどう表現すべきだろうか。レイアウト情報である、として作品名情報からは抜いておいて、レイアウト情報は別途持つべきだろうか。

たとえば、「クレヨン しんちゃん」は、最初のころは「クレヨン」と「しんちゃん」の間に改行があったのだが、最近は無い。

記号の扱い

☆マークや、ハートマークを使うことは多い。この時に悩むのは「白抜き」なのか「黒抜き」なのか、ということだ。

JIS や Unicode にあるものはまだよい。作品名ではないが、「サブタイトル名」だとかなりやっかいだ。

「星界の紋章」の場合、作品世界中の独自言語である「アーヴ語」のアルファベットが使われている。また、「こどものおもちゃ」の第39話のBパート「ばびんがびびんがぼんばびぼー」に至っては、正確に書き写すのは困難だ。古代世界の楔文字のようなデタラメな文様が石版に表示されているからである。ちなみにこの回、登場人物のセリフも無茶苦茶である。

形態

一つの作品が一回の放送で単純に完結することは少ない。最近ではDVDソフト化の際に修正されることは多いし、「未放映版」がソフトにのみ収録されていることもある。また、その未放映版がCSなどで改めて放映されることもある。

内容そのものに変化はないのだが、「超変身コス∞プレイヤー」「ヒットをねらえ!」「LOVE♥LOVE?」は30分枠内のAパート、あるいはBパートで放映された作品である。2クールを3つに分けて、それぞれを順に連続してAパートで放映したのであるが、「ヒットをねらえ!」がAパートの時には「超変身コス∞プレイヤー」がBパートで再放送された。その際、Aパートとして放映された際にはなかったOPが放映された。同様のことが、「ヒットをねらえ!」がAパートで放映された初回と、Bパートで放映された再放送でも発生した。ネタバレにもなるので詳しくは書かないが、この放映形態は、それ自体が意味を持つ構成になっていた。

放映日時

放映日時の表現もやっかいだ。単純にキー局が一番最初の放映で、その他の局の場合はそれより後であればまだ良い。キー局での初出日時を使うこともよかったであろう。

しかし多チャンネル時代の昨今、また、UHFアニメ全盛の今では「キー局」の意味が曖昧だ。

用途にもよるだろうが、番組を見た人の記憶との関連性のことも考えると、すべての放送局で、すべての放送日時を再放送を含めて記録できないだろうか。昔の番組など、都会の人間と地方の人間では「裏番組」の話題での齟齬は珍しくないだろう。

放送事故

突発の臨時ニュースや、放送事故についてはどう扱うべきだろうか。たとえば、「魔法少女 リリカル なのは」の三重テレビでの放映は、第1話が中途で中断してしまい、翌週、あらためて1話から放映しなおされた。

臨時ニュースが入ってしまい、番組の途中で打ち切られることも多い。

作品の種別

アニメ作品の分類として、「テレビアニメ」「OVA (OAV)」「劇場版アニメ」などの分類が見られる。しかしこの分類、まじめに考えるとかなり面倒だ。初出のメディアがテレビ放送なのか、ソフト媒体なのか、劇場なのか、というのがまずは思いつくだろう。

しかし「OVAの先行放送をテレビで」などいうことは多い。たとえば「ナースウィッチ小麦ちゃん マジカルて」や「撲殺天使ドクロちゃん」は、しばしば「Anime TV」などの番組で発売に先駆けて放送される。また、スカパーのPPVなどでも放送されることは多い。

劇場にしても話題作りのため、単館だけで上映され、それを「劇場版アニメ」などと称することは多い。また、イベントなどでの先行上映もある。

劇場版かどうか、を区別する基準としては「映倫」のマークが入ってるかどうかを使う、ということを聞いたこともある。

オープニング、エンディング

スタッフ

人名

なんらかの理由で「改名」することは多い。結婚した場合、験かつぎ、事務所の移籍など、理由はさまざまだ。

また、テロップ上では誤字も多い。

テロップの信頼性

「大人の事情」でテロップには偽名を使うこともある。また、個人名は出さずにスタジオ名で代替することもあるし、他人の名前が使われてしまうこともある。

古い作品では一部の回のOPやEDが紛失していて、再放送では同じ内容のテロップが毎度使われてしまうこともある。

役職名

制作会社や作品によって「役職名」は異なることが多い。たとえば「監督」に相当する役職が、東映アニメーションでは「チーフディレクター」だったりする。そもそも「監督」的な役職が無いこともあるだろう。また、同名の役職が会社によって権限、役割が違うなどというのはあたり前の話だろう(別にアニメに限ったことではない)。

リンク